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しーくれっとらば~’S

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SERENADE 第10話 圭視点



BL的要素」を含みますので
 苦手な方、義務教育中の方、「BL」「やおい」の意味の判らない方の閲 覧はご遠慮頂いた方が良いかと思われます



SERENADE 10


~THE 10th~ side KEI TOUNOIN

君と僕の間には何があるんでしょうね?

マスコミ攻勢も影をひそめ、僕たちは以前のような
静かな生活を取り戻しつつあった。

ここの所、胸を渦巻いてきた悠季と僕の関係。
その原点にあるものに名前はあるのだろうか....?


*********************************



圭。昨夜の君はとても情熱的だったね。

僕は君の熱さを持ったまま寝てしまったので
面白い夢をみてしまったよ。


僕は小さな林に住んでいるリスなんだ。
リスユウキが胡桃を食べているとふっと何かを感じてね
空を見上げたんだ。

空では大きな鷹が僕を睨んでいる。
みるみるうちに鷹が僕を目掛けて急降下してきたんだ。
逃げようとするんだけど怖すぎて動けない。

『喰われる!』
と思った瞬間に鷹が僕に胡桃を木から落としてくれて
こう言ったんだ。大きな翼で僕を庇うようにしながら。

「君、名前は?」
「僕・・・僕はユウキ」
「そう・・。素敵な名前ですね。どうぞ、その胡桃
 お食べなさい。」ってね。

それでねリスの僕が恐々聞くんだ。
「君、名前は?」
「これは失礼。先に名乗るべきでした。僕はケイです。そんなに怖がらなくても平気ですよ。」
「でも君は僕にこの胡桃を食べさせてから、その・・あの・・
 僕を食べるつもりでしょ!?」ってね。

そしたら鷹ケイはこう言ったんだ。
「僕が君を食べる?どうしてです?」
「だって、鷹は肉食だろ?だから僕を・・・」
「そう・・・ですか。僕は君と友達になろうとしただけ
 なんですが、それも悪くありませんね。」

って“ふっ”と笑って言うんだよ。
リスの僕は怖くて怖くてブルブルと震えていると次の瞬間
リスユウキは鷹ケイに組み敷かれているんだ。
「では、いただきます。」ってね。

ああ、こんな可笑しな夢、見るなんて・・・。
君の昨夜の熱さが、その、ね、
君がまだ、僕の中にいるようなそんな感覚が残ってるから、
なんだと思うけど。

僕は自分でも少し淫乱になって来てるんじゃないか、って思うことがあって。
だって・・・君が、君の事が欲しいって思う時があってね。
だから・・・



***********************************


M響の仕事を早めに終えた僕は静かに我が家のドアを開けた。
いつも聞こえてくるはずの悠季のバイオリンの音色が無い。
意識はしていなかったのだが、そっと、足を進めると...。

熱心にライディングデスクに向かって日記を綴る
最愛の人の背中が目に飛び込んできた。

悠季は書くのに夢中で僕の気配に気づかないらしい。
なにか...秘密を覗き見るようなワクワクした気持ちが
僕を取り巻いて行った。

視線は素早く日記の文章を追いかけ...
思わず、悠季を背中から抱きしめ呟いていた。

『僕はいつでも君を欲していますけれどね?』

「け、圭!!帰ってたの?」
『ええ、今しがた。ただいま。悠季』
「うん。お帰り。圭」

僕たちは-----もうすっかり習慣になった-----お帰りのキスを
念入りに終えた。

「や、ヤだなあ。圭、後ろから盗み見してたのかい?」
『君のすることはなんにでも興味がありますから』
「書きあがってからゆっくり見ればいいだろっ!あっ!!」

日記帳を瞬時に奪った僕に悠季の非難する視線が浴びせられる。
...こんな可愛い事を書いておいて...
僕はどうしてもその続きが知りたくなったのだ。
はっきりと悠季の口から...聞いてみたい。

『”だから...”なんですか?その続きは? 』
思い切り、優しい声で囁いてみた。

「圭、ダメだよ!声出して読まないでよ!恥かしいじゃないか。」
『どうせ、後で見るんですし。』
「じゃあ、後にしてくれ」

怒った顔も素敵ですよ。悠季。

『ほお。僕の天使はゴキゲンななめですね。
 しかし、君の考えている事は一刻も早く知りたいのが
 伴侶としての当然の気持ちです。』
「・・・恥かしいヤツ。そんなに僕に言わせたいの?」
『日記で読むのも素敵ですが、君の肉声ですと歓びが増しますからね。』

さあ、僕に囁いてご覧なさい。
そんな気持ちで僕は世に言う『口説きモード』に入った。

『”だから”・・・なんですか?』
「バカ・・・僕は人間であっても、動物になっても君が好きだって事!」

悠季....!
そのはにかんだコケティッシュな表情が
口説きモードだった僕を一瞬にして
ハンターモードへと切り替えた。

『リスユウキでもカメユウキでも好きですよ。』
「どうせ僕は“歩みののろいカメ”ですよ!君とは違う」
『・・・!どうしてそんなに君は可愛い事を・・・。』
「・・て、やっぱり食べられちゃうのかい?」

僕の『獲物』はそこに...いる!

『ふふ。どうでしょう。鷹が僕と同じ考えなら・・・
 毎日少しづつ君の味を確かめると思いますが。』
「もう!圭ったら!」
「少しづつならいいけどね。・・・君、ちょっと、その、すごい・・・から、さ。」

僕は...ゆっくり獲物を追い詰めていく鷹に、なっていた。

『そのような愛らしい表情を楽しみながら・・・』
優しく、悠季の顔を包み込んで.....。
「な、なんだよ?け、圭?」

『いらない事を言う口を塞いで味わい・・・』
啄ばむように唇に触れた後、その奥を充分に味わって.....。
「うっっ!」

『肌触りのいい毛並みを堪能して・・・』
少し汗ばんできた悠季の首元から胸に掌を滑らせる.....。
「やっ!いやらしいなぁ、そんな・・・あっ、触り方、するな・・・よ!」

『そして...最も敏感な部分の甘さを頂くでしょうね』
眼前に現れた紅色の突起を含んで転がした。
「あっ、け、け・・・い」
悠季の吐息が熱いものに変わり、
僕は目の前の『獲物』をもっと味わう事にした。


「・・・いいですか?悠季?」
「う、うん。いい・・・よ、圭。もっと・・・違う所も・・・」
今日の『獲物』は昨夜とはまた違って、積極的ですね。
君には驚かされたり翻弄されてばかりです。
ま、そんな君もまた一興ですので、
僕も...鷹になりきってみましょうか       !


『おや?リスさんの尻尾がこんなところに・・・
 美味しそうな尻尾だ。さて、今日の食事を頂く事にしましょうか』
彼の“尻尾”を一呑みすると、
僕の(鷹にも...あったでしょうか)尻尾も存在をひけらかし...。

「あっっ!圭・・・鷹に・・こんな立派な尻尾があったかい?」
ふっ。まだ余裕ですね。悠季。

『僕の尻尾は・・・あとで君にたくさんご馳走しますよ。』
「やらしい・・っ・・言い方だな・・はぁっ!」
『君』を攻め立てながら話す僕の愛撫に
悠季は喘ぎながらも...
背中に回した手に力を込めて僕に欲求を伝えている。

『でしたら・・・待ちきれない様ですのですぐにでもどうぞ』
僕はくるりと身体の向きを変えると
悠季の眼前にその巨大な“尻尾”をひけらかした。

「いつ見ても、君の尻尾は立派だね。」
掌の柔らかい感触がそっと僕を包み、
躊躇いもせず含まれた僕自身の予想以上の快感に
不覚にも声が...掠れてしまった。

『うっ・・・悠季。い、いいですっ。
 ぼ、僕の味はいかがですか・・?』
「・・・ブラヴォー・・・です」
ぴちゃぴちゃと卑猥な音が留まる事の無い性的欲求を膨らましていく。


「そ、そんなに強く・・・しないで。もたないよ・・・圭」
『いい。いいのですが・・・やはり・・』
      本当に食べてしまいたい...。
『こちらでも僕を味わって下さい・・』
もう、収縮を始めている悠季のそこに指を絡めて。
僕はメインディッシュの準備に取り掛かった。

そこは、もう熱く蕩けていて。
「うっ、うううっ・・・圭、早く・・君が欲しい。もう、僕・・」
      我慢も...限界です!!
『悠季・・・っ』

限界まで育った僕のものを突き立てた。
先ほどまでとは比べ物にならない快感に、思わず奥歯を噛みしめる。
『くっ..す、ごいっ!』
蠢く悠季の内部が僕の余裕と理性を消し去った。
僕は悠季の唇を求めて伸び上がり、
その動きに新たな官能を受けた悠季が身を捩る。

二人の愛の囁きと熱い吐息が奏でる『小夜曲』(セレナーデ)。
その、汗にまみれた音たちがますます二人を煽っていく。

-----結局、僕が悠季を開放したのは
何回絶頂を迎えたかも覚えていない夜明け前だった。

うっすらと目を開けたまま意識を飛ばした悠季の体を拭き
シーツを代えながら、僕はぼんやりと考えていた。
今まで感じた事のない大きな『何か』が
心の奥底で波打っているようだ。


少しのまどろみの後、身じろぐ悠季に気がついた。
『少々、無理をさせてしまったようで、申し訳ありませんでした。
 身体の方は大丈夫ですか?』

情事の後のキスは-----極上の甘さです。

「圭。君がいるから僕は生きて行けるんだって実感してたとこ。
 やっぱり君を選んで、選ばれて良かった、ってね。」
『ええ。僕もいつもそう、思っていますよ。悠季。僕の愛しい人。
 ゆっくりおやすみなさい。』

身体を襲う強烈な眠気に瞼が自然に合わされていった。
でも、頭の中は幸福感に支配された思考がめまぐるしく動いていた。

君に対して、『愛している』と星の数ほど囁いて来ましたが。
音楽家としての嫉妬や、焦り。そして、人間としての君の大きさを実感して
全部受け止めた上で、まだ君をどこまでも欲しいと思う。
今まで出会った人間にこれほどまでの感情をぶつけて、
独占しておきたいと思ったことはありません。

『無償の愛』その言葉がふっと頭を掠めて行った。

そう、これが本当の意味での『愛』なのですね。
どんな君も、何があっても自分を捧げたいと願う。

悠季。
君と僕の間には愛しか存在しないのですね。
きっと....僕たちは
その愛でSERENADEを永遠に奏でていくのでしょう。

守村悠季。
僕の大切な大切な人の名前・・・。


そして僕は深い極上の眠りへと入っていった。

     ---Fin---



「セレナーデ」10話 悠季視点に行く


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